2017型 Vストローム 1000 インプレッション


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コメントは下記のような男の視点で書いております。ご参考まで。

ライダースペック

身長175cm 体重70kg 股下人並み 握力左右50kg ’83年バイク免許取得 ’92年限定解除

近年のバイク

2013 ハヤブサ 09R1200GS  07ロードキング 06スポーツスター BMW R1150GS  カワサキゼファー1100  

メンテナンス度

オイル交換、ブレーキパッド・マフラー交換程度。

走り方

お散歩:空いた早朝の都心部や郊外の大きな道路を1〜2時間流す
ツ−リング:高速5割、下道5割の日帰りツーリング。峠は8割の気合で流す。


《世界最高なバイクからの決別》

 隼に乗って三年が過ぎ車検を通した。この三年乗っていて思ったのは隼はやはり世界最高のバイクだった。このバイクよりやや上回る性能とかそういうバイクは数台あるが、その完成度、また最高速だけに寄らない中低速の乗りやすさ、排気量の割に普通のツーリングでは20km/L以上は行く燃費、積載性など、ツーリングバイクとしても使い勝手がよく、一方で峠でもヘタレな自分を十分にカバーしてくれる高性能に不安を微塵とも感じず遊ぶ事ができた。そしてもちろん、もっともその能力を発揮する高速道路では…周りの風景は一瞬で線になる。

で、買い替えることにした。

「人生一度は前傾するバイクに乗りたい」
そう思って買ったものの、三年間走って隼たる楽しみ方ができたのは早朝の柳沢峠、伊豆スカ、箱根、富士山スカイラインくらい、関東のライダーなら有名な道志道や旧奥多摩有料道路なんかはすぐに混んでしまい楽しくない。そしてツーリングでも午前九時以降の地方道や観光道路や高速降りた後の帰り道は渋滞とエンジンからの熱に見舞われ、好んで選んだ「前傾」のネガな部分がジワジワと出てきて体力を消耗してしまうというパターンが続いた。

また、子供が大きくなり「自分だけでなく俺達もバイクに乗せてどこかに行け」という、親としてはまあうれしい発言も出てくるようになった。後ろに乗せたら当然ながらペースは安全モードになるわけで、そうなるとこれまでは走るのに集中していたから気にならなかった前傾も、出発から気になる部分になってくる。

そして小生はやはりツーリングの最中に林道を見つけると走りたくなったり、狭い道をちょこちょこ行きたくなったりする根っからの山道ツーリンガーだった。これ、隼だとちょっと気持ちが重たくなる。
「人生一度は」とちょっと浮気をしてしまったが、十分堪能したので、そろそろ「転んでもいいや」と思うバイクで気兼ねなく行きたい所に行く自分に戻ることにした。

加えて近年、各社から魅力あるデュアルパーパス(アドベンチャー?アルペンマスター?まあそんな類)モデルが出てきた。これも乗り換えに拍車がかかる理由となった。

と、ここまで書いて俺はいったい誰にこんな長々と言い訳を書いているのだろうとフト思う。…ハヤブサだな。もう少し言うとsuzukiもだろう。世界最高を楽しませてくれてありがとう。世界最高のバイクを作ってくれてありがとう。良くないのは日本の道路事情と私のせい。この責任を取って、買い替えもsuzukiにしたのである。(嘘)

次なる購入候補は下記。

1.スズキ V-Strom1000
2.スズキ V-Strom650
3.ヤマハ MT-09 Tracer

4.BMW R1200GSひとつ前の世代 中古

いつもながら、Webで調べまくって比較して、1と3が二次選考へ。

一次却下理由

2.スズキ V-Strom650
→たぶん国内で乗るには最適解と思われる。が、カミさんのW650との使い分けや二人乗り+荷物積載をした時のパワー不足を懸念。加えてまだリッターバイクに乗っていたい欲望。

4.BMW R1200GSひとつ前の世代
→つまりは隼の前に乗っていたモデル。但しその場合は2012年の最終モデルが希望。しかしタマ数が少なく、あっても乗り出しで170万円とか言ってるのでそこまで払うつもりはない。新型はオーバースペックだし、デザインもイマイチ(個人的感想)だし、250万円出すほどの魅力が感じられない。
思えば外車ディーラーはハーレーダビットソンを除き経営が安定してないのか、いつの間にか無くなっていたり、部品供給に時間がかかるなど、東京に住んでさえ不満だったことも今回見送った一つ。15年以上外車に乗り続けてきた上での結論。

で、残った1と3。昔どこかのサイトで「隼とYZF-R1の関係はオフロードバイクで言うとDR400WR250」という記述があってなるほどねと思ったのだが、この関係が「V-Strom1000MT-09 Tracer」にも当てはまるなぁと思った次第。両車ともベクトルは違うのだが重なる部分も多くて、競い合うとイイ勝負みたいな関係。総じてスズキは戦斧、ヤマハはサーベル、さあどっちが強いかみたいな…。

●スペック比較

出力:Vst99ps Tre:116ps →Treの勝ち
トルク:Vst: 10.2 kgfm/ 4,000 rpm  Tre: 8.9kgfm)/8,500r/minVstの勝ち
車重:Vst233kg Tre210kg→Treの勝ち
タンク容量:Vst:20L Tre:18LVstの勝ち
燃費:Vst22km/L以上 Tre:20q/L程度→Vstの勝ち
センタースタンド:Vst:オプション Tre:標準→Treの勝ち
キャリア:Vst:標準 Tre:オプション→Vstの勝ち
追加料金(見積後):諸経費込で20万円差でTreの勝ち
シート高:Vst850mm Tre:845o引き分け
店の近さ:スズキ:5q YSP:4.5q→引き分け

ややMT-Tre優勢。特に大きな点は価格。Vstでは20万円余分に追金しないと買えない。ここは大きな分かれ目だった。対象はどちらも新車である。
ところがMT-Tre2017モデルのカラーがイマイチ(個人の感想)ばかりなのが判明。前年モデルのシルバーにブルーホイールが継続していたら…。加えてリアキャリアを付けた時の外観バランスとかそういう点でややVstに傾く。
Vstのトルクは10kg/4000rpmは、隼も4000rpm10kgと一緒。隼で峠走っていても40005000で遊んでいた小生には、あの加速くらいあれば十分と思った。ああ、それとスポークホイールもかな。洗うの面倒そうだけどチューブレスでスポークホイールは魅力だった。

(一度MTを試乗するか…それでハッキリ決めよう)YSPに電話する。

「ああ、試乗車売れちゃって今無いんですよ…」との回答。この店は且つてBoltを試乗しようとしたら「予約で一杯。また今度」、MT-07の試乗を頼んだら(これは乗ってみたかっただけ)もう夕方になるのでダメとタイミングがいつも悪い。店をどうこう言うつもりは無いが、やはり自分とはあまり縁の無い店なのかもしれない。ますますVstに傾きだす。
しかし価格差を埋めるにはもう一息。そこでスズキディーラーさんに「センタースタンドをつけてくれたら買う」と言ったらなんとOKが出た。隼の下取りももう少し頑張りますということなので、あっさりVstに決めてしまった。決めたのはV-Strom1000 XTの黄色である。

納車はホワイトなら即納だが黄色は時間がかかると言う。でも黄色にした。1か月待ち。こんなに待ったのは十数年前にBuellを買った時以来だ。グッと堪えた。Suzukiさん、生産計画間違っていないか??。今度のVst1000売れまっせ、きっと。知らんけど。

当ホームページのトップにあるように小生はハーレー(スポスタ・ロードキング)BMW R1200 GS、隼と乗り継いできたわけだが、Vstは加速した時のエンジン音(排気音ではない)は空冷、水冷の違いはあるけれどVツインで同じハーレー、特に3000rpmあたりでロードキングと同じ音を出す。姿格好、乗車姿勢、ビューポイントは当然だがR1200GSと重なる。そして同じスズキだからキーシリンダーやキーが隼と共通だったり、さらにセミカムギアのキュルキュル音がカミさんのW650のべべルギアと近しい音が出る。
Vstに乗ってみると今まで乗ってきたバイク達のエッセンスをどこかで感じるバイクだなと思う。何か集大成というか集結(終結)というか、そんな気がした。
とは言えハーレーより速く(もしかしたら峠では隼より速く走れるかも)R1200GS並み以上の装備(グリップヒーターだけが惜しい)で、未舗装道路での安定性は上回り、隼より楽な姿勢で走れる(300q/hは出ないけど)のだから、各バイクのエッセンスはありながらもイイトコ取りな結果となった。

乗る人を選ぶシート高、小生身長175cm、体重72kg、足の長さは普通(と思っている)で両足の親指の根元が地面に着く感じ。R1200GSで慣れていたのでこれがデメリットにはならないが、もう2cm低かったらなと。それでもこのくらい着けば座ったままバックでる(平らな所では)。前後ショックが調整効くため、リアは少し柔らかめ(沈みやすい)で設定している。ローシートがオプションであるが、見た目のバランスはノーマルが良いのでこのままいくつもり。

《インプレッション》

2018.1.14時点でのインプレを。 随時追加していきます。

●高速 (燃費:19〜22km /L)
可もなく不可もなく1000tなりの加速で本線に突入。隼の時のような爆発的な加速はないが、高い防風性と楽な着座姿勢は長い距離をそれほど疲れることもなく、ハイアベレージで目的地へと連れて行ってくれる。

追い越しも至ってスムーズに執り行え、ストレスなく完了できる。80〜100q/hキープで燃費は22q/L、4000rpm越えを継続していると20q/hを切りだす。170q/hくらいまでは一気に吹きあがるそうだが、それ以上は徐々に加速が鈍り多分最高速は210q/h程度と思われる。
高速をかなり高い速度でかっ飛ばしたいという人はともかく、それ以外の人には高い次元で不満の無いスペックを有していると思う。

●峠 (燃費:18〜22q/h 走り方による)
自分は根っこはモトクロス野郎だったこともあり、リーンアウトなら寝かせるのがあまり恐くない。で、細かな日本の峠道はリーンアウトで突っ込んでいるのだが、Rが小さくなればなるほどハヤブサより速く走れている。
ロータスエリーゼやランエボとか四輪にはコーナーリングスピードでどうしても太刀打ちできずにこれまで道を譲っていたのだが、Vstはクルックル回るので煽られず、逆に引き離したり、追いついて行ける。また4000rpmで最大トルクを発揮するエンジンはシフトダウンしなくてもそれなりの加速を見せてくれる。フロントブレーキもしっかり効くし、あくまで小生の腕での話ではあるが、Vstがこれまでのバイクの中で一番峠で速く走れている気がする。

●一般道(燃費22q/L )
旧型の方は6速で速度40〜50キロ以下はガクガクするようだが、この型はローRPMアシストのおかげなのか粘り、あまりガクガクしない。とはいうもののW650やロードキングのような車と同じスピードでも楽しいという感じはしない。もう少し振動(鼓動)とかあっても良いのだが。。。急かされるような感じもしないので、ホントにただ「移動」と言う感じ。眠くなる。
シートは400qくらいではお尻は痛くない。そして何より姿勢が立っているので乗っていて疲れない。家に帰ってすぐに家事を手伝わされてもすぐに反応できる(笑)瞬間燃費計がついているので、6速に入れて低回転で走ると30q/Lとか表示されてそのまま結構走ったりしているのだが、結局は総合的には22q/Lで終わり、あまり意識的に省エネ走りしてもそれほどの効果が感じられない。

●未舗装路 
トラクションコントロールがついているので未舗装路はMAX値にするが、本当に後輪のスリップが抑制される。後輪がスリップするとこの手の脚付きの悪い重量級バイクでは即、立ちごけの可能性が高くなるため、この機構は助かる。たった3000q程度走った中で二度助けられた。タイヤがロード寄りなので、FRとも簡単にスリップする。未舗装路はともかく、荒れた林道はかなり慎重に走った方が良い。

●その他
良い処
・トリップメーターやアベレージ燃費、瞬間燃費など表示類多数。切り替えもハンドル離さずに左側にある操作スイッチでできるので便利

・防風性は高い。スピード感が無くて体感でハヤブサよりマイナス10q/hズレる。要注意。
・スポークだが、間隔が大きめなので、太目のロックも通しやすい。
・何だかんだ言ってもリッターバイクで20q/L行くのは素晴らしいと思う。
・デザインは個人的には良いと思う。旧モデルより嘴とかも奇抜過ぎず。

悪い処
・ヘルメットホルダー無い。
・ミラーの形が軽自動車のようだ。

・キーが挿しにくい。隼でもそう感じていたのだがスズキのキーシリンダーって皆そうなのだろうか。
・ガソリン入れると外に飛沫が飛びやすい形状。しかもこのタンク、一旦満タンにしても少し経つと油面が下がり、つぎ足してしばらくするとまた油面が下がると、本当に満タンにしようとするためには何度かつぎ足す必要があり、面倒。(タンク内の圧の関係?)
・シートが黄色なので汚れが目立ちやすい。また、塗装もシールなので色褪せしそう。色褪せしたら結構みっともなくなるだろう。
・タンク上面の形状が凸凹でプラスチック素材なので、タンクバックはつけにくそう。
・そうだろうなと思っていたが、リアキャリアはアルミではなく、アルミ塗装のプラスチックです。割れたりしないだろうな…。


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