《はじめに・・・素人がインプレする意義とGS》
インプレッションなんてのは私のような素人さんより、バイク雑誌やプロライダーのインプレのほうが正確であると思われる。
が、あえて書く理由はメーカーの広告費で成り立っているバイクメディアでは、どうしても良いことは誇張し、悪いことは濁らして評価
しなくてはならず、特に単独メーカー専門誌では雑誌全体が広告と化す傾向が非常に強い。欠点やがっかりした点は辛口にバシッ
と物言い、これから購入しようとする人たちに伝えていくのは、何のしがらみも無い我々ユーザーである。
《とは言え・・・》
「バイクメディアのしがらみを言い放って置いてなんだが、GSに限って言うとほぼ雑誌インプレの通りで良いかと。つまりは欠点
のほぼ無い完成されたバイクであり、スピードなり、乗り味なり、所有感なり、いづれかで究極でないと許せないというバイク乗り
以外には十分満足させる能力を有している。とは言え購入検討の際は気をつけておきたいところを少々述べたい。
ガストンライエ伝説とLong Way Round
雑誌はもはやガストン・ライエ伝説でR1200GSを語るのは止めてほしい。GSと名がつくものの、多くの人が購入検討で
あろうハイラインではデュアルパーパスとさえも言い切れないほどオンロードバイクである。軽量化が災いしたのかリアへの
荷重が少なく、未舗装路ではタイヤのグリップが効かず容易にスライドを起こし走りづらい。リア荷重するために10〜20kg
の砂袋を積んで走ったほうが走りやすくと思われる。(重くなるけど) 新型はオフ志向が高まったなどと書かれているが、
それはESAとASCのあるプレミアムラインの話であり、私のハイラインには関係なし。もとより故障したら目玉の飛び出る修理費
となるであろうそれらが故障したら「オフロードで使いすぎたあなたに責任がある」と保証外にされそうで怖い。そう感じさせるほど
振動・泥/埃・雨風にさらされるバイクの電子デバイスとしてはまだギミックな印象がぬぐえない。(買えなかった奴の僻み(笑))
また、テレレバーはBMWワークスがラリーなどで使用していないことを考えれば、オフにベストなサスではないわけで、Long Way
Roundでユアン達が最初に候補にしたバイクがKTMだったことは正しいと思う。まあ二人にバイクを貸したBMWの心意気は
好意的に見ているけど。(画面には出ないけど後ろにBMWメンテチームが付き添っていたりして)
とにかくR1150GSを超えるくらいのオフロード性は期待して買ったのだが、このバイクはオンロードバイクであり、ライバルは
KTMではなく、ホンダCB1300であると思われる。なんとなくだがGS乗ってからはCB1300乗りの視線を感じる。
一方、オンロードではロードスポーツを脅かす程ではない?
以前乗っていたR1150GSはかなり攻めれたバイクであった。モタード風なリーンアウト姿勢で右に左に安定したコーナーリング
ができ、レプリカを抜かせはせずともついていくことはできたのだが、R1200GSは初期入力時はアンダー気味であり、入力を強く
するといきなりパタンと倒れそうな不安定さを見せる。倒れそうで倒れないのかもしれないが・・・。コーナー手前でシフトダウンが
きつすぎるとボクサーエンジンおよびシャフト駆動の特性からくる車体フラれがこっそりと発生するが、これらも軽量化の影響か?
現在走り方を模索中。
高速道では明らかに1150より速くなった。特に5,000rpm越えてからの加速感は前がローキンだけに必要十分な印象であるが、
速くなったとは言っても四十オヤジがビビるほどではない。もっと刺激が欲しくなる。最高速も220km/h程度と予測する。
BMWは限界速度域でもそれを維持しつつ走り続けられることは前から言われていることだが、120km/hまでは非常に優雅に
走っているのにそれを超えると微振動とエンジン音が激しくなり、鼻の穴全開、歯剥き出しの、でもそのまま速いペースで走り続けら
れるどこかの国のマラソン選手のようになる。大丈夫なのだろうけど、乗る側からすると「無理させてないか」との意識が先立つ。
やがて170km/hを超えると今度は鼻も口も閉じはじめ、オッカナイ顔だけで走り続ける高速ランナーと化す。がここまでくると
バイク云々より免許が心配になるので、BMW本来の高い高速巡航はそれほど楽しめてはいない。
色気のない乗り味
前述の通り高回転時の色気のなさは低回転時でも同様である。わざと高めのギアを使って2〜3千回転あたりで走っていると
若干鼓動感と、俗に言うプロペラ飛行機の音を感じ取ることはできるが、アイドリング時はトラクターかディーゼル自動車のよう
な排気音だし、巡航時の音もブイーンという一点張りであり、ローキンやW650と同じ空冷2気筒ながら、抑揚感というか魂を
揺さぶるというかそういう類の感性に響いてくる楽しみはあまり期待できない。、「確実・快適・迅速に貴方を目的地までお届けし
ます。「感性」といったあいまいなお楽しみはその先でどうぞ」と言われているようである。
《街乗り》燃費15km/L
全幅940mm+ナックルガードですり抜けは困難だが、ハンドル位置がガードレールより上のため道路左端を足バタバタしながら
進むことはできる。ローキンの時のように渋滞ハマるといつまでも車の後ろということもなく、またR1150GSより車重が軽いしハン
ドルの切れ角もあるのでこれら2車よりはだいぶ街乗りは楽になった。
問題は乾式クラッチであり、ゴーアンドストップが繰り返されると焼けた匂いが鼻をつく。クラッチが滑りだして交換すると20万円位
かかるらしいので半クラを避けようと気を使うのに疲れる。乾式の宿命と割り切って20万円気にしないで半クラをバンバンできる
収入が欲しい(泣)もっともこのバイクでの街乗りは道が空いている早朝か遠回りになっても渋滞が少ないルートを選び、ストレス
が溜まらないように気をつけている。
余談だがサイドバックをつけるとリアキャリアと合わせて畳1/3程度の平らなスペースができる。車が無いと持ち運びに辛い
ビールケースやおコメなどが余裕で積めるので、ショッピングセンター周辺の買い物渋滞を横目に買い出しに重宝している。
《高速》燃費20〜21km/L
ウィンドシールドは小さいながらも仕事をしている。R1150GSの時はアドベンチャー用の大きなものに交換したが、ナックルガード
やタンクカウルも貢献しているのか交換したくなる程の状況にはならない。それはそのまま雨天時に雨を避けられることにもなり、
高速道路では腕以外は不思議なほど濡れない。
最高速はチャレンジしていないが、180km/hくらいまでは容易に到達し、ローキンのようにフレームがスピードに負けたり、フラつ
いたりすることもなく安定している。前述のようにエンジン音と微振動を気にしなければ長時間高い速度での巡航が可能で、ポジ
ションも楽であり肉体的にも精神的にも疲れを感じないまま目的地のICに到達できる。
燃費は100km/hでひたすら巡航すれば23km/Lくらいまでは伸びそうであるが、ローキンと違い、刺激の無い乗り味は退屈で
死にそうになるので少し回し気味である。その燃費結果。
《下道ツーリング》燃費18〜19km/L
制限速度+α程度では2000〜3000rpmあたりで流している。このバイクで排気音がやや楽しめる唯一の範囲である。ギヤが高くても
ちょっとひねればスルスルと加速し粘りはある。総じてトルクの谷間などもあまり感じられず、視点も高いのでスムーズに走りながら
風景を楽しんだりする余裕が生まれてくる。ローキンではできなかったちょっとした未舗装の横道にもためらわず進入でき、ツーリング
の幅を広げてくれる。サスが固めなのかギャップを拾いやすく、ちょっとした凸凹でも車体が振動する。ローキンの猫足サスに慣れた
身には、長い脚持っているくせにギャップを吸収できないのかと不満を感じる。サスを柔らかくすればいいのかとも思うが、そうなると
コーナーリングがフニャつくか…。
未舗装林道は車も走れるような簡易整地されたレベルであれば速度が出せるが、タイトなカーブやマディ、ガレた道ではタイヤが
グリップせずあっけないほど早くからスライドを起こす。雑誌では標準タイヤでも意外に走れると書かれているが、この「意外に」という
レベルはよっぽど低い想定なのだろう。上りはまだ良いが下りはフロントも滑りやすく、タイヤも小さいからかギャップにハンドルを
取られやすい。だからもうン十年前のパリダカ伝説はやめて欲しいのだ。「GSのくせにヘタレめ」と横を抜き去る250ccのオフ車乗り
に思われたくない。むしろロードスポーツが未舗装林道ノロノロ走っても「オッ、挑戦者」と思われるように扱われたい程である(笑)。
パリダカ伝説語りたいならESA/ASCなど電子デバイスで補助するのではなく、裸で勝負しろっての。とつぶやきつつ未舗装林道は
気をつけ気をつけ走ってます。今度はタイヤをカル-Tにしようかな。
《峠》
オフ車的ディメンションもあってバンク角はあるので、そこそこ攻めることはできる。タイトなコーナーもクリクリ回るので扱いやすい。
の・だ・が、どうにも低速時はパタンと倒れるんじゃないかと思うくらい切れ込みを感じ、フォームを一定にしてクリアすることができない。
一方中高速コーナーではそれなりの安定感を見せるのだが、カーブ手前でかなり意図的に倒していかないと初期入力が甘くなり、
アンダーステアな動きになりやすい。目を三角にして走る歳でもないが、気持ちよく走りたいので入る前から尻をづらして進入して
いる。ブレーキ制動は必要十分であり、信頼は置ける。オフロードではあれだけスリップしたタイヤもこのステージはしっかり仕事
してくれる。
《その他》
・ノーマルハンドルではやや前傾になりやすく肩がこる。エクステンションライザーをつけた方が楽になる。実際つけた。
・小物入れ、メットホルダーは相変わらず無い。まあ外車乗り続けているとその辺はもう慣れた。
・オイルが減りやすいのがGSであったが、この型はそれほどひどく減らない。3000km毎でオイル交換時をする予定なので、途中で
付け足すようなことにはならなさそう。
・GSにしてから他人から全く声をかけられなくなった(笑)。ハーレーの時は頻繁に何cc?とか値段を聞かれたものだが。他人を惹き
つけるオーラはやはりハーレーだなぁ・・・。
・フロントのデザインはボリュームもあってカッコイイのだが、リア周りはなんかゴチャゴチャし過ぎ。小径のフレームパイプがやたらに
交差してどうにもみっともない。F-GSの方がデザインは良いと思う。
一応、現在から5、6年先までの使用想定を考え、積載性や燃費、必要最高速度、取り回しのしやすさ等20以上の検討項目で7台の
候補(他ムルティストラーダ・KTM990SMT・F800GS・F650GS・隼・Buell12XT)から慎重に導き出した結果なので色々文句も言ったが
今は満足している。 特に日帰りツーリングで400km弱程走るが、このくらいの距離だと高速道路を1/3使うものの、家に帰ってからも
ほとんど疲れを感じない。ツーリング行く前とほぼ変わらないと言ってもいいくらいで、これは驚くべきGSの特長だ。帰ってから草野球に
でかけたこともあったくらいだ。ローキンのように走りに不満を感じてパーツ交換しまくりという事にもならず、金はあまりかからないので
助かっている。距離が延びるほどにエンジンもスムーズになっていくというのも良く言われるが、そうなっていくことを楽しみにしたい。
以上5000km走ってのインプレ。1万kmくらい走ったらまた追記します。
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